2016年5月29日日曜日

ストップ・リニア!訴訟ニュース第1号(2016年6月1日 リニア新幹線沿線住民ネットワーク http://linearstop.wix.com/mysite


ストップ・リニア!訴訟ニュース第1号が2016年6月1日付で発行されメールで送付されて来ましたので、掲載します。

ストップ・リニア!訴訟 ニュース
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工事認可の取消しを求め東京地裁に提訴
リニア新幹線沿線ネットワークは 5 20 日(金)午後、 738人の原告名簿を添えて、東京地方裁判所に国土交 通大臣によるリニア新幹線工事計画の承認処分の取消しを求める『ストップ・リニア!訴訟』を提起しました。 
 JR東海は 2014 8 月、当時の太田昭宏国土交通大 臣宛に「中央新幹線工事実施計画(その1)」を提出し、同 年 10 17 日、国交大臣はこの工事計画を承認しました。 これに対し私たちリニア沿線住民を中心に 5,048 人が、 2 カ月後の 12 16 日、行政不服審査法に基づく不服審 査請求(工事承認処分の取消しを求める異議申し立て)を国交大臣あてに行いました。 私たちの切実なこの申し立てについて、審査庁の国交省は真摯に審査することなく、1年半も経過するのに 裁決の目途さえ明らかになっていません。

一方、JR東海は品川駅や名古屋駅ではリニア駅建設 に向けた「安全祈願祭」を行い、昨年 12 月には,南アルプ ストンネル掘削のために、山梨県早川町で「着工式」を強 行しました。自治体や住民の意見を無視して工事を進め ようとするJR東海の前のめりの姿勢に対し、私たちは およそ 1 年間の準備を経て、昨年秋、工事計画承認処分 の取消しを求めて行政訴訟を提起することを決め、沿 線各地のリニア沿線住民ネットに加盟する地域住民団体 が中心となって、原告・サポーターの募集を行いました。

法律の規定により、提訴の際に原告になれるのは異 議申し立て者に限定されるという困難はありましたが、 738 人が原告に応募し、サポーターも 1 千人を超えまし た。原告の居住地域の内訳は次の通りです。
東京都 74 人、神奈川県 211 人、山梨県 150 人、静岡県 29 人、長野県 40 人、岐阜県 94 人、愛知県 85 人、その他 55 人(北海道、青森県、茨城県、埼玉県、千葉県、三重県、 滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県、山口県、愛媛 県、福岡県)。
多くの記者がリニア訴訟に強い関心を示す
提訴団は東京地裁事務局に110ページ近い訴状を提 出しました。そして、ストップ・リニア!訴訟の審理は東京 地裁民事第 3 部で「平成28年(行ウ)第211号」として行 われることになりました。
提訴後、原告団長の川村晃生氏(リニア・市民ネット山 梨)、副団長の原重雄氏(東濃リニアを考える会)、弁護 団共同代表の高木輝雄、関島保雄、中島嘉尚の各弁護 士、弁護団事務局長の横山聡弁護士らが司法記者クラ ブで記者会見を行いました。会見場前方には記者が席 を埋め、後方にはテレビ局のカメラが並びました。
会見で川村氏は訴訟に至った経過と意義を話し、弁 護団の3人の共同代表は、リニアが全国新幹線鉄道整備 法と鉄道事業法に違反し、杜撰なアセスメント手続きは 環境影響評価法違反であ
日本のあり方を変える裁判に~川村原告団長
「私たちは 2007 年からリニア新幹線計画の見直しを求 めてきた。運動の面で大きな転換点となったのは、2013 2 月のリニア新幹線沿線住民ネットワークの結成であ り、現在 12 団体が加わり、品川から名古屋のリニア沿線 で活動している。3 年間のアセスの中で私たちはリニア の環境対策の不十分さを指摘してきたが、JR東海や国 交省からは的確な答えは無かった。そして、国交相は 2014 10 月にリニア工事を認可した。これに対し、 5,048 人が異議申し立てを行ったが、国交省は『鋭意審 査中』と繰り返すばかりで、審査の報告も無い。このまま ではJR東海が工事を進めてしまうという危機感から訴 訟に踏み切った。この訴訟で、リニアの事業認可が誤り であり、アセスの説明は極めて不十分であることを主張 し、工事認可の取り消しを求める。日本のあり方を決め る裁判であると位置づけている」。 (5/20 記者会見)
ストップ・リニア!訴訟の論点解説
1.争う内容
   国交大臣が、JR東海の平成 26 8 26 日付「中央 新幹線(東京・名古屋間)の工事実施計画(その1)」の認 可申請に対し、全国新幹線鉄道整備法第9条に基づい て平成 26 10 17 日に行った、中央新幹線(品川・名 古屋間)の工事実施計画(その1)を認可するとした処分 の取消し。国を相手に争うが、工事計画や認可処分の詳 細について十分説明できないため、JR東海も「補助参 加人」として訴訟に加わることになる。

2.原告適格
 今回の原告になる資格を有するのは、2014 12 月に 上記処分に対して「審査請求」(異議申し立て)を行った 者である。原告適格としての資格は以下の3類型に分け て主張する。
 1 全原告に共通する適格= リニアに乗車した場合に、安全な運行を確保できる利 益、南アルプスの美しい自然景観を享受する利益。
 2 沿線 1 6 県の居住者の多くが有する適格= 居住地域の関係で、工事及び運行に際して、騒音、振 動、水利、微気圧波、低周波、磁界などの健康被害を
「中央地溝帯と中央構造線が交差する南アルプスは地 震の巣であり、そのど真ん中にトンネルを掘ってリニア は走行する。万が一、直下型の地震が発生した場合、千 人の乗客の安全を確保出来るのか疑問である。昨年は 新幹線で火災事件が起きており、今後テロ行為の恐れ もある。このような不測の事態が発生した場合、地下深 いトンネルから長さ3kmもの斜坑を通って無事避難でき るか、リニア新幹線の大きな課題である。南アルプスの 自然環境への影響も深刻だ。残土処理や地下水、ウラン 鉱床通過などの対策の不備を問う」。(関島弁護士) 「熊本地震はリニアの安全性を考える上で重要な事実 であり、地表 10 センチ浮上しており安全だというが、断 層のずれでガイドウエイがゆがんだり、トンネルが壊れ たら、時速 500kmで走るリニアはひとたまりもない」。
(中島弁護士、ともに 5/20 記者会見での発言)
受ける高度の蓋然性。
 3 確実に被害を受ける者=
ルート上ないし近辺に物権的権利(土地、借地、借家、 立木トラスト、土地トラスト等)を有する者。
 3. 訴状の組み立て

1 リニア新幹線事業は全国新幹線鉄道整備法(全幹法) と鉄道事業法に違反している。
リニア新幹線は、認可に際して全幹法で申請されて いるが、鉄道事業法が適用されるべきである。リニア 新幹線は経営上の適切性を欠き、輸送の安全性を欠 くこと、環境面への配慮等、事業の遂行上適切な計画 を有するものとは認められないことなどから鉄道事 業法第5条1項に違反する。
<鉄道事業法第 5 1 項が定める許可基準>
 1 号 その事業の計画が経営上適切なものであるこ
と。
 2 号 その事業の計画が輸送の安全上適切なもので
2 訴状の内容を説明すると ともに、地震対策・避難対策の不備を指摘しました。


 4 号 その事業を自ら的確に遂行するに足る能力を 有するものであること。
 全幹法 1 条は目的として、「新幹線鉄道による全国 的な鉄道網の整備を図り、もって国民経済の発展及 び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に利するこ と」と規定する。
 そして、全幹法第 3 条は、新幹線鉄道 の路線について、「全国的な幹線鉄道網を形成する に足るものでなければならない」と規定する。
 また、 同条は新幹線鉄道の路線について、「全国の中核都 市を有機的かつ効率的に連結するものでなければな らない」と規定する。
 「中核都市」とは、全国的視野に 立ってみた場合に、ブロックの中心として中枢管理機 能の集中している都市、あるいは各地域の開発発展 の中核となるべき都市をいう。「有機的」とは客貨の 流れ、その他輸送の実態に即して鉄道の機能が十分 果たせるようルートが設定されていることであり、 「効率的」とは新幹線鉄道の高速性が十分果たせる ようルートが設定されていることをいう。
 リニア新幹線は一般の鉄道以上に莫大な建設費、 維持費を要するとともに高度の安全性や環境負荷へ の配慮が求められるにも拘わらず、事業の計画にお いて経営上の適切性や輸送の安全性を欠いており、 環境に配慮した事業の遂行上適切な計画を有してお らず、全幹法と鉄道事業法に違反する事業であるこ とは明らかである。
2リニア工事実施計画の認可は環境影響評価法違反 環境影響評価法 33 条は、対象事業に係る免許等を 行う者は、当該免許等の審査に際し、評価書の記載事項及び 24 条の書面に基づいて、当該対象事業につき、 環境の保全について適正な配慮がなされるものであ るかどうかを審査しなければならないと定められて いる(いわゆる横断条項)。横断条項の解釈に当たっ ては、環境影響評価法の目的である、環境影響評価 の結果を事業に反映させることにより環境保全につ いて配慮がなされていることを確保するという法の 趣旨に添い、環境影響評価の結果が事業実施の可否 に有効に反映され、有効な規制法として機能するよう に解釈されなければならない。

 したがって、全幹法第9条による本件認可処分につ いては、同法既定の要件に加え、環境影響評価法 33 2 項3号により、環境保全に関する審査結果という 要件が付け加えられることになる。本件認可ついても、審査の結果、環境保全上支障があると判断される ときは、認可の要件を欠くものとして認可処分を行っ てはならない。
 リニア新幹線事業については国交省交通政策審議 会の中央新幹線小委員会で審査が行なわれ、2011 5 12 日の答申で、南アルプスルートの採用が決定さ れた。そうだとすると、環境影響評価の手続き開始後 には複数案の検討は無かったことになる。審議会で 複数案を検討しても、環境影響評価法の定める調査 や検討がなされないまま決定しては意味が無く、環 境影響評価法が骨抜きとなる。
 その後 3 年間に、方法書、準備書、評価書、補正後評 価書が出されたが、環境調査箇所や調査機会が少な い上、過去の文献資料などに依拠した調査を基にし た環境保全措置が記載されているが、途中に提出さ れた知事意見や住民意見が求める環境保全措置と はほど遠い具体性のない内容であった。
 リニアルートの 7 分の1を占める山梨実験線が実験 供用されているが、この実験線の延伸工事の際は、法 律で決められた環境影響評価が行なわれていない ことも問題である。環境影響評価を手続きで縛ること で意思決定の合理性を担保しているのであるから、 環境影響評価法においては、手続きを適切に踏むこ とが求められており、この手続きを適切に経ていない リニア新幹線の工事計画を認可した処分は違法であ る。
 3 環境評価の各論

 地下水脈の破壊(沿線全都県) 建設発生土処理の未定~東京ドーム50杯近い残土の運搬ルート、処分方法、処分先が不明(沿線全都県) 工事車両、建設機械による騒音、振動、渋滞、大気へ
の影響を過小評価(沿線全都県) 自然環境の破壊、生態系被害(沿線全都県) 供用に伴う開口部の騒音、振動、微気圧波、低周波による被害(沿線全都県) 磁界(電磁波)の人体への影響~人体実験になる 高架(あかり)部分の日照被害 
 山梨、岐阜で5~7時間の被害、農業にも影響 景観破壊(神奈川、山梨)
巨大な車両基地、高架橋、橋梁による景観喪失 以 上
(訴状全文は6月中に原告の皆さんに送付します)
3
訴訟を支える弁護団(敬称略)
リニア新幹線沿線住民ネットワーク連絡先
弁護団共同代表
高木輝雄 (愛知・高木輝雄法律事務所) 関島保雄 (東京・関島法律事務所) 中島嘉尚 (長野・あるぷすの風法律事務所)

弁護団事務局長
横山 聡 (東京・アルタイル法律事務所)

弁護団事務局次長
和泉貴士 (東京・八王子合同法律事務所)

弁護士
大川隆司 (神奈川・大川隆司法律事務所) 渥美雅康 (愛知・金山総合法律事務所) 家田大輔 (愛知・野呂法律事務所)
樽井直樹 (愛知・弁護士法人名古屋法律事務所) 松本篤周( 〃 ) 岡本浩明 (岐阜・弁護士法人岐阜法律事務所) 山下 潤 (長野・岩下法律事務所)
蒲生路子 (長野・信州しらかば法律事務所) 金枝由香里(長野・河嶋恒平法律事務所) 渡邉恭子 (長野・丘の上法律事務所)
中野直樹 (神奈川・弁護士法人まちだ・さがみ

法律事務所相模原支所) 徳田晃一郎( 〃 ) 足立悠( 〃 )
金枝真佐尋(長野・あおぞら法律事務所) 原田彰好 (愛知・しるべ総合法律事務所) 藤川誠二 (愛知・藤川法律事務所)
吉浦勝正 (弁護士法人名古屋E&J法律事務所) 小笠原忠彦(山梨・甲斐の杜法律事務所)
リニア・市民ネット東京
207-0014 東京都東大和市南街 1-8-8-303 代表 懸樋哲夫 042-565-7478
リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会
213-0014 神奈川県川崎市高津区新作 5-22-1-103 共同代表 天野捷一 Tel&Fax 044-866-5785 (他に共同代表として山本太三雄、矢沢美也)
リニア新幹線を考える相模原連絡会
252-0144 相模原市緑区東橋本 2-6-2 代表 浅賀きみ江 090-4378-9257
リニア・市民ネット山梨
400-0014 山梨県甲府市古府中町 984-2
代表 川村晃生 Tel&Fax 055-252-0288
南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク・静岡
420-0839 静岡県葵区鷹匠 3-3-1 井口ビル 地球ハウス内 054-209-5677
共同代表 松谷 清、服部 隆、有元利通、八木 功 増田和明
リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク
422-8027 静岡市駿河区豊田 1-4-43-25
代表 芳賀直哉 Tel&Fax 054-283-8882
NO!リニア連絡会
399-3501 長野県下伊那郡大鹿村鹿塩 434 代表 山根沙姫 080-6936-0153
飯田リニアを考える会
395-0803 長野県飯田市鼎下山 1228-7 事務局長 酒井和美 0265-24-2605
東濃リニアを考える会
508-0006 岐阜県中津川市落合 2011-2 代表 原 重雄 0573-69-4619
リニアを考える岐阜県民ネットワーク
508-0502 岐阜県中津川市馬籠 5659-2 代表 庄司善哉 0573-69-4619
リニアを問う愛知市民ネット
471-0017 愛知県豊田市寺部町 3-78 代表 小林収 Tel0565-80-5323 Fax0565-89-1620
リニアを考える愛知県連絡会
486-0855 愛知県春日井市関田町 3-117-1 代表 川本正彦 Tel&Fax0568-83-9261
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司 法 記 者 ク ラ ブ )

2016年5月20日金曜日

ストップリニア訴訟の訴状もくじ(2016年5月20日東京地裁へ提訴)


2016年5月20日ストップリニア訴訟が東京地裁に提訴された。訴状は100頁を超える膨大なものなので、目次のみを掲載する。

この訴訟の目的は、
① 国交省のリニア新幹線事業の工事認可を取り消させ、この事業計画を白紙に戻す。
② 国交省の事業認可にいたるまでの審査の不備と、JR東海のアセスメント(環境影響評価)を始めとする情報非開示
 と、事業計画の杜撰な内容を明らかにする。そのことで、不要、不急な公共事業及び公共性の高い事業を無くすという
 今後の運動に活かしていく。

この訴訟で争う点は、以下の2点に集約される。
  ① 全国新幹線鉄道整備法及び鉄道事業法違反
  ② 環境影響評価法違反

原告は、東京都74名、神奈川県211名、山梨県150人、静岡県40名、長野県29名、岐阜県94名、愛知県85名、その他55名 合計738名である。